「来月で辞めてもらえないか」
ある日突然、上司から言われた一言。飲食業界で20年以上、料理長として働いてきた私にとって、まさに青天の霹靂でした。
この記事では、48歳で突然の退職勧告を受けた私が、初めての転職活動で何をしたか、何を学んだかをすべてお伝えします。同じような状況に置かれた方、いつかそうなるかもしれないと不安を感じている方の参考になれば幸いです。

退職勧告を受けた日のこと
前兆はあった
振り返れば前兆はありました。店の売上が3ヶ月連続で前年割れ。新メニュー開発の話が来なくなった。シフトが週1日減らされた。
でも「まさか自分が」とは思っていませんでした。20年以上働いてきた。料理長を任されてきた。店の味を作ってきたのは自分だ。そんなプライドが「まさか」を強化していました。
頭が真っ白になった
勧告を受けた瞬間、頭が真っ白になりました。
家のローンがまだ20年残っている。子供はまだ中学生。妻にどう説明する。48歳で転職なんてできるのか。不安が津波のように押し寄せてきました。
でも今振り返ると、この出来事がなければ、私はずっと飲食業界の長時間労働に消耗し続けていたと思います。退職勧告は、ある意味「強制的な転機」でした。
退職勧告後にやった5つのこと
1. 冷静に退職条件を確認した
感情的になりたい気持ちを抑え、退職金・有給消化・退職日を書面で確認しました。
最も重要なのは「会社都合退職」にしてもらうこと。自己都合と会社都合では、失業保険の給付開始が2ヶ月以上違います。退職勧告なら会社都合にできるケースが多いので、必ず確認しましょう。
2. 翌日にハローワークへ行った
退職日の翌日、すぐにハローワークへ。会社都合退職だったため、待機期間7日後から失業給付が始まりました。月額約18万円×5ヶ月。この給付があったからこそ、焦らずに転職活動ができました。
3. 転職エージェントに登録した
ハローワークの求人だけでは選択肢が限られる。そこで転職エージェントにも登録しました。無料で使えて、自分の経験やスキルを客観的に評価してもらえるのが大きかったです。
最初の面談で「料理長としてのマネジメント経験は、他業界でも十分通用しますよ」と言われた時は、少し救われた気持ちになりました。飲食業の中にいると、自分のスキルが他でも通じるとは思えなかったからです。
4. 家族に正直に話した
退職勧告を受けた日の夜、妻に正直に話しました。隠し通せるものではないし、隠す意味もない。
意外にも妻の反応は「長い間お疲れ様。次は体を壊さない仕事にしてね」でした。覚悟していた怒りや失望はなく、むしろ安堵の表情。彼女も、私の長時間労働を心配していたのです。
もっと早く相談すればよかった。これは転職活動を通じて一番強く感じたことです。
5. 自分のスキルを棚卸しした
エージェントのアドバイスで、飲食業で身についたスキルを書き出してみました。
- 原価管理(食材の仕入れ・ロス管理) → 数字を扱う力
- 人材育成(アルバイト・後輩の指導) → マネジメント力
- クレーム対応(お客様対応) → コミュニケーション力
- 段取り力(調理の効率化) → プロジェクト管理力
- 売上管理(月間500万円の店舗運営) → 経営視点
書き出してみると、意外と多い。「飲食しかやってこなかった」のではなく、「飲食で20年間、これだけのスキルを培ってきた」。視点が変わった瞬間でした。

転職活動のリアル
書類選考で10社以上落ちた
最初の1ヶ月は惨敗でした。「飲食業界しか経験がない48歳」の壁は確かに厚い。何度も心が折れそうになりました。
転機はエージェントのアドバイス
「職務経歴書の書き方を変えましょう」。エージェントにそう言われ、飲食業の経験を他業界でも通じる言葉に翻訳しました。
「ホール管理」→「顧客対応(1日来店者100名規模)」
「仕込み管理」→「工程管理・生産計画」
「シフト管理」→「人員配置・労務管理(15名体制)」
これだけで書類通過率が劇的に上がりました。
退職後2ヶ月で内定
3社の面接を経て、食品メーカーの品質管理ポジションで内定。年収はほぼ横ばいでしたが、週休2日・残業月20時間以内。飲食時代とは生活が一変しました。
48歳の転職から学んだ3つの教訓
教訓1:退職勧告は「チャンス」でもある
自分から辞める勇気がなかった私にとって、退職勧告は背中を押してくれた出来事でした。結果的に、より良い環境で働けるようになりました。
教訓2:一人で抱え込まない
家族への相談、ハローワーク、転職エージェント。頼れるものは全部頼りました。一人で悩んでいた時間が一番もったいなかったです。
教訓3:飲食業の経験は武器になる
「飲食しかやってこなかった」ではなく「飲食で20年間培ったスキルがある」。この視点の転換が、転職成功の鍵でした。
まとめ:突然の退職勧告でも、道は必ずある
退職勧告を受けた時は人生が終わったような気持ちでした。でも今は「あの時辞めてよかった」と心から思っています。
もし今、退職勧告を受けて不安を感じているなら、覚えていてください。立ち止まらずに一歩を踏み出せば、道は必ず見つかります。


